2024年確定申告:添付書類省略・手続き簡略化の変更点Q&A(フリーランス向け)
2024年の所得税改正において、確定申告の手続きや提出書類に関する変更点がいくつかあります。特に、特定の添付書類の提出が原則として不要になるなど、申告準備の手間が軽減される場合があります。これらの変更点を正確に理解し、適切に対応することは、フリーランスの確定申告において重要です。
この記事では、2024年の確定申告における手続きの簡略化や添付書類の省略に関する主な変更点について、Q&A形式で解説します。ご自身の申告準備に役立てていただければ幸いです。
Q1:2024年の確定申告で、具体的にどんな書類の提出が原則不要になりますか?
A1: 2024年(令和6年)の確定申告では、以下の書類について、その記載内容を申告書に記入することで、原則として添付・提示が不要となりました。
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 社会保険料控除証明書(国民年金保険料など、一部を除く)
- 小規模企業共済等掛金控除証明書
- 勤労学生控除の証明書
- 特定口座年間取引報告書(所得税及び復興特別所得税に関するもの)
- 政党等寄附金等、認定NPO法人等寄附金等、公益社団法人等寄附金等の寄附金控除の証明書
これらの書類は、控除額などを申告書に正確に記載するために必要ですが、税務署への提出自体は原則不要になったということです。
Q2:提出が原則不要になった書類でも、保管は必要ですか?
A2: はい、提出が原則不要になった書類であっても、ご自身で保管しておく必要があります。これは、税務署から内容確認のために、後日これらの書類の提示や提出を求められる場合があるためです。
事業に関する書類の保管期間は、原則として確定申告書の提出期限から7年間と定められています。これらの控除証明書なども、税務調査などで確認を求められる可能性があるため、事業書類と合わせて適切に保管しておくことをお勧めします。
Q3:医療費控除の領収書も提出不要になりましたか?
A3: 医療費控除については、医療費の領収書の提出は不要となりましたが、代わりに「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付する必要があります。
この「医療費控除の明細書」を作成するためには、支払った医療費の領収書や、医療保険者から交付された医療費通知などが必要です。したがって、領収書そのものを税務署に提出する必要はありませんが、「医療費控除の明細書」を作成するために、ご自宅で領収書を整理し保管しておくことは引き続き重要です。医療費通知を活用すると、明細書の作成が一部簡略化できます。
Q4:e-Taxで申告する場合、これらの書類の扱いはどうなりますか?
A4: e-Tax(電子申告)で確定申告を行う場合、多くの場合、これらの添付書類はイメージデータ(PDF形式など)で送信することも可能です。また、上記の原則提出不要となった書類については、e-Taxで申告する場合も同様に提出が原則不要となります。
ただし、一部の書類については、提出の省略が認められていないものや、別途郵送等での提出が必要な場合もあります。詳細は国税庁のウェブサイトなどでご確認いただくことをお勧めします。e-Taxを利用することで、物理的な書類の準備や提出の手間をさらに省くことができる場合があります。
Q5:これらの手続き簡略化は、フリーランスにとってどのようなメリットがありますか?
A5: 主なメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 申告準備の手間軽減: 確定申告書と一緒に提出する書類の準備や確認にかかる時間が減り、作業負担が軽減されます。
- 郵送や窓口提出の手間削減: 郵送で提出する場合の送料や、税務署の窓口に持参する手間が不要になります。
- 書類紛失リスクの低減: 提出過程で書類を紛失するリスクが減ります。
これらの変更点は、毎年ご自身で確定申告を行うフリーランスにとって、申告手続きをよりスムーズに進める助けとなる可能性があります。
Q6:提出が原則不要になった書類でも、提出を求められることはありますか?
A6: はい、提出が原則不要になった書類であっても、税務署が必要と判断した場合、税務調査の際などにその提示や提出を求められることがあります。
そのため、Q2でも述べましたが、これらの書類は定められた期間(原則7年間)適切に保管しておくことが非常に重要です。保管を怠ると、控除の適用が認められなくなるなどの不利益を被る可能性がありますのでご注意ください。
まとめ
2024年の確定申告では、特定の控除証明書などの添付が原則不要となり、手続きが一部簡略化されました。これはフリーランスの皆様にとって、申告準備の負担を軽減する良い機会となります。
ただし、これらの書類の提出が不要になったからといって、処分して良いわけではありません。税務署から提示や提出を求められる場合に備え、定められた期間、適切に保管しておくことが引き続き求められます。
今回の変更点を正しく理解し、必要な書類の保管を適切に行うことで、スムーズで正確な確定申告を目指しましょう。