2024年確定申告:マイナポータル連携で変わる申告手続きQ&A(フリーランス向け)
2024年の確定申告シーズンに向け、所得税の申告手続きにおいてもデジタル化が進んでいます。特に、マイナポータルとの連携機能は、多くの納税者にとって確定申告の手間を軽減し、より正確な申告を行うための一助となる可能性を持っています。
この記事では、フリーランスとしてご自身で確定申告を行う方が知っておくべき、確定申告手続きのデジタル化やマイナポータル連携に関する疑問点を、Q&A形式で解説します。
Q1: 2024年の確定申告で手続きのデジタル化は具体的にどう進んでいますか?
A1: 2024年の確定申告(令和5年分)においても、e-Taxを利用した電子申告の推進が引き続き重点的に行われています。特に、マイナンバーカードと連携した「マイナポータル連携」を活用することで、所得税の確定申告に必要な一部の証明書等の情報が自動的に取得できるようになり、申告書作成の手間が軽減されるなどのデジタル化が進んでいます。
また、スマートフォンを利用した申告手続きもより利用しやすくなるなど、ご自身の環境に合わせた多様な方法で電子申告ができるよう整備が進められています。
Q2: マイナポータル連携とは何ですか?フリーランスにとってどのようなメリットがありますか?
A2: マイナポータル連携とは、ご自身のマイナポータルを通じて、公的機関や一部の民間事業者から取得した証明書等の情報を、国税庁の確定申告書等作成コーナーやe-Taxソフトへ連携させる機能のことです。
フリーランスの方にとっての主なメリットは以下の点が挙げられます。
- 証明書等の情報の自動取得・入力: 生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除、ふるさと納税などの寄附金控除、社会保険料控除、iDeCoや小規模企業共済等掛金控除に必要な証明書等の情報を、マイナポータル経由で取得し、確定申告書作成画面へ自動で反映させることができます。これにより、手入力の手間や転記ミスを減らすことが期待できます。
- 書類収集の手間軽減: 連携可能な情報については、原本の証明書等を待ったり、紛失の心配をしたりすることなく、デジタルで情報を取得できます。
- 申告の効率化: 情報が連携されることで、申告書作成にかかる時間や労力を削減し、よりスムーズに申告手続きを進めることができます。
Q3: マイナポータル連携を利用するには何が必要ですか?
A3: マイナポータル連携を利用するには、主に以下のものが必要となります。
- マイナンバーカード: 署名用電子証明書が有効なものが必要です。
- マイナポータルへの登録: マイナポータルを利用できる環境が必要です(PCやスマートフォン)。
- マイナポータルAPのインストール: PCの場合は専用のアプリケーション、スマートフォンの場合は対応のブラウザとアプリのインストールが必要です。
- ICカードリーダー: PCで利用する場合、マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダーが必要となる場合があります。対応するスマートフォンであれば不要です。
- 連携設定: マイナポータル上で、確定申告に必要な情報を連携する設定を行う必要があります。事前に各証明書等の情報を管理する機関(保険会社、証券会社、寄附先自治体など)に対する情報提供同意手続きが必要です。
これらの準備が整えば、国税庁の確定申告書等作成コーナーなどからマイナポータル連携を利用できます。
Q4: マイナポータル連携で連携できる情報はどのようなものがありますか?
A4: 2024年の確定申告(令和5年分)でマイナポータル連携により連携可能な主な情報は以下の通りです。
- 給与所得の源泉徴収票情報(勤務先が情報を提供している場合)
- 公的年金等の源泉徴収票情報
- 医療費通知情報
- 生命保険料控除証明書情報
- 地震保険料控除証明書情報
- 寄附金控除に関する証明書情報(ふるさと納税など)
- 社会保険料控除証明書情報(国民年金保険料など)
- 小規模企業共済等掛金払込証明書情報(iDeCo、小規模企業共済など)
- 住宅借入金等特別控除証明書情報(一部)
これらの情報が全て連携できるわけではなく、各証明書等の情報を発行する機関がマイナポータル連携に対応している必要があります。また、フリーランスの方の場合、事業所得に関する売上や経費の情報は連携対象外となります。
Q5: 連携した情報は確定申告にどう活用できますか?
A5: マイナポータル連携で取得した情報は、国税庁の確定申告書等作成コーナーやe-Taxソフトで確定申告書を作成する際に、該当項目の金額として自動的に入力されます。
例えば、生命保険料控除の証明書情報が連携されていれば、保険会社から送られてくる証明書を確認して手入力することなく、保険料の金額が控除額の計算に反映されます。医療費についても、医療費通知情報が連携されていれば、一件ずつ入力する手間が省けます。
ただし、自動入力された情報がご自身の認識と合っているか、連携されていない情報はないかなど、最終的な確認は必ずご自身で行う必要があります。
Q6: マイナポータル連携を利用する上での注意点はありますか?
A6: マイナポータル連携は便利ですが、いくつか注意点があります。
- 全ての情報が連携されるわけではない: Q4で述べた通り、連携対象外の情報や、情報提供機関が連携に対応していない情報は連携されません。例えば、自分で支払った国民健康保険料や国民年金基金の掛金、業務上の経費に関する情報は連携されません。
- 情報の確認は必須: 連携された情報が正確であるか、漏れがないかなど、必ずご自身で確認する必要があります。連携された情報のみで申告を完了させず、お手元の証明書等と照合することをお勧めします。
- 事前の同意手続きが必要: 各情報提供機関から情報を提供してもらうためには、マイナポータル上で事前の同意手続きが必要です。この手続きを忘れると情報連携ができません。
- 反映までのタイムラグ: 同意手続きを行ってからマイナポータルに情報が反映されるまでに時間がかかる場合があります。確定申告の期限間際に慌てないよう、早めに手続きを行うことが推奨されます。
ご自身の所得や控除に関する情報は、ご自身の責任で正確に申告する必要がありますので、連携機能はあくまで申告を補助するものとして捉え、最終確認を怠らないことが重要です。
Q7: デジタル化に対応しないとどうなりますか?
A7: 2024年の確定申告において、フリーランスの方が紙で申告すること自体が直ちに不可能になるわけではありません。ただし、e-Taxを利用した電子申告には、青色申告特別控除額が65万円になる(条件を満たす場合)といった優遇措置があります。デジタル化に対応しない場合、これらの優遇措置を受けられない可能性があります。
また、将来的には手続きのデジタル化がさらに進むことが予想されます。デジタルでの申告に慣れておくことは、今後の手続きの簡素化や効率化に対応するためにも有用と考えられます。
Q8: e-Taxソフトや確定申告書等作成コーナー以外にもデジタルでの申告方法はありますか?
A8: 国税庁が提供するe-Taxソフトや確定申告書等作成コーナーが主な電子申告の手段ですが、ご自身の会計ソフト等で作成した申告データをe-Taxへ連携して送信する方法もあります。
また、最近ではスマートフォン一つで確定申告を完結できる「スマホ申告」も進化しています。マイナポータル連携と組み合わせることで、より手軽に申告手続きを進めることが可能です。ご自身の利用しているサービスやデバイスに合わせて、最も利用しやすい方法を選択することができます。
2024年の確定申告における手続きのデジタル化、特にマイナポータル連携は、フリーランスの確定申告をよりスムーズにするための重要なツールとなり得ます。これらの機能を活用することで、証明書等の収集や入力の手間を減らし、正確な申告につなげることが期待できます。
ただし、連携できる情報には限りがあること、そして連携された情報の最終確認は必ずご自身で行う必要があることを忘れないでください。早めにマイナポータル連携の設定を行い、不明な点は国税庁のウェブサイトなどで確認しながら、計画的に確定申告の準備を進めていきましょう。正確な申告をすることで、安心して事業に専念できることと思います。