Q&Aでわかる2024税制改正

2024年確定申告:フリーランスの車両経費・減価償却Q&A

Tags: 確定申告, 車両経費, 減価償却, フリーランス, 家事按分

フリーランスとして事業を行う上で、車両を業務に使用することは少なくありません。車両の購入費や維持費は事業に必要な経費となりますが、その計上方法、特に車両本体の「減価償却」や、事業とプライベートで共有する場合の「家事按分」などは、確定申告時に疑問が生じやすい点です。

この記事では、2024年(令和6年分)の確定申告に向けて、フリーランスの車両にかかる税務上の扱いについて、Q&A形式で分かりやすく解説します。正確な申告のために、ぜひ参考にしてください。

Q1:事業用車両を購入した場合、購入費用はまとめて経費にできますか?

A1:車両本体の購入費用は、原則として購入した年に全額をまとめて経費にすることはできません。

車両本体のように、時間の経過とともに価値が減少していく固定資産の購入費用は、「減価償却費」として、使用可能な期間(法定耐用年数)に応じて少しずつ経費にしていきます。これは、購入した年に一度に多額の経費を計上するのではなく、その資産が事業に貢献する期間にわたって費用を分散させる考え方に基づいています。

ただし、車両の購入に伴う税金(自動車取得税、自動車税環境性能割など)、登録費用、車庫証明費用などの付随費用については、車両本体の取得価額に含めて減価償却の対象とするか、支払った年の経費(租税公課や支払手数料など)として処理するかの選択が可能な場合があります。一般的には、取得価額に含めることが多いですが、金額が少額であれば経費として処理することも考えられます。

Q2:車両の減価償却はどのように計算しますか?法定耐用年数や定額法・定率法について教えてください。

A2:減価償却費の計算は、その車両の種類や取得時期、選択した償却方法によって異なります。

車両の減価償却計算には、「法定耐用年数」が基準となります。税法で定められている一般的な新車の普通自動車の法定耐用年数は6年です。軽自動車なども種類によって耐用年数が定められています。

償却方法には主に「定額法」と「定率法」があります。

個人事業主の場合、原則として償却方法は定額法ですが、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで定率法を選択することも可能です。一度選択した方法は、原則としてその後の事業年度も継続して適用する必要があります。

Q3:車両関連費用(ガソリン代、保険料、税金、修理費など)はどのように経費にできますか?

A3:事業で使用した部分に対応する金額は経費にできます。プライベートでも使用している場合は「家事按分」が必要です。

車両の維持にかかる費用、例えばガソリン代、自動車保険料、自動車税、車検費用、修理費、駐車場代、高速道路料金などは、事業の遂行に直接関連するものであれば経費として計上できます。勘定科目としては、「車両費」や、内容に応じて「燃料費」「保険料」「租税公課」「修繕費」などを使用します。

これらの費用を全額経費にできるのは、その車両が100%事業用である場合に限られます。多くのフリーランスの方は、同じ車両を事業とプライベートの両方で使用していることが多いでしょう。この場合、総額のうち事業で使用した割合に応じた金額のみを経費として計上する必要があります。これを「家事按分」といいます。

家事按分の割合を決めるには、走行距離、使用時間、使用日数など、事業での使用状況を客観的に説明できる合理的な基準を用いる必要があります。例えば、総走行距離のうち事業で使った距離の割合で按分する方法が一般的です。正確な按分を行うためには、日々の走行記録(事業用とプライベートの距離)などをつけておくと良いでしょう。

Q4:中古車を購入した場合、減価償却の計算は異なりますか?

A4:はい、中古車の法定耐用年数は、新車の場合とは異なる計算方法で求めます。

中古車の法定耐用年数は、その車両が「法定耐用年数を全部経過しているか」または「法定耐用年数の一部を経過しているか」によって計算方法が異なります。

この計算で求められた耐用年数(1年未満の端数切り捨て)に基づき、定額法または定率法で減価償却を行います。中古車は新車よりも短い期間で償却できるため、購入初年度や数年間で比較的大きな減価償却費を計上できる場合があります。

Q5:事業用車両を売却した場合、税務上の扱いはどうなりますか?

A5:事業用として使用していた車両を売却して得た利益や損失は、「譲渡所得」として申告する必要があります。

車両を売却した場合、売却価額と、売却時点でのその車両の「未償却残高」(取得価額からこれまでに計上した減価償却費の累計額を差し引いた金額)との差額が、税務上の利益または損失となります。

譲渡所得には特別控除額(最高50万円)がありますが、事業用資産の譲渡の場合はこの特別控除の適用に関する注意点があります。詳しくは税理士や税務署にご確認ください。売却によって生じた譲渡益や譲渡損失は、確定申告書の定められた箇所に記載して申告します。


車両に関する経費や減価償却の計算は、車両の種類や使用状況、購入時期によって細かなルールが適用される場合があります。特に家事按分については、合理的な基準を設定し、必要に応じて説明できるよう記録を残しておくことが重要です。

2024年の確定申告に向けて、ご自身の車両の状況と照らし合わせながら、この記事が正確な申告の一助となれば幸いです。ご不明な点や複雑な事例については、税務の専門家にご相談ください。