Q&Aでわかる2024税制改正

2024年所得税改正:フリーランスのための予定納税最新情報Q&A

Tags: 予定納税, 所得税, 確定申告, フリーランス, 税制改正

フリーランスとして事業を営んでいる方は、毎年確定申告を通じて所得税を納めていらっしゃることと思います。しかし、一定以上の所得がある場合には、「予定納税」という形で、年の中途で所得税の一部を前払いする必要があります。

2024年の税制改正、特に定額減税の実施は、この予定納税額に影響を与える可能性があります。この記事では、フリーランスの方が知っておくべき2024年の予定納税に関する疑問点を、Q&A形式で解決していきます。ご自身の予定納税額の確認や、確定申告に向けた準備にご活用ください。

Q1: 予定納税とは何ですか?フリーランスに関係ありますか?

A1:

予定納税とは、その年の所得税の一部を、年の中途で前もって納付する制度です。これは、前年分の所得金額や税額に基づいて計算され、その年の所得税額の見込みに対して行われます。

予定納税は、主に個人事業主(フリーランスを含む)や不動産所得などがある方で、前年分の所得税額から特定の控除(源泉徴収税額、予定納税額など)を差し引いた金額が15万円以上となる方が対象となります。したがって、一定以上の所得があるフリーランスの方は、予定納税の対象となる可能性があります。

税務署から対象となる方へは、通常6月中旬頃に「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」が送付されます。この通知書に記載された金額を、第1期分(7月1日から7月31日まで)と第2期分(11月1日から11月30日まで)に分けて納付することになります。

Q2: 2024年の所得税改正で、予定納税に影響はありますか?特に定額減税との関係は?

A2:

はい、2024年の所得税改正、特に「定額減税」の実施は、予定納税額に影響を与える可能性があります。

定額減税は、納税者本人および扶養親族に対し、一人あたり合計4万円(所得税3万円、個人住民税1万円)の減税を行う措置です。このうち所得税に関する定額減税額は、原則として2024年分の所得税から控除されます。

予定納税額は、前年分の所得税額などを基に計算されますが、この計算において、2024年の税制改正による定額減税額が考慮されることになります。具体的には、税務署から送付される予定納税額の通知書において、定額減税額を反映した後の金額が記載されている場合があります。これにより、例年よりも予定納税額が少なくなる、あるいは予定納税が不要となるケースも考えられます。

ご自身の予定納税額通知書をご確認いただくことが重要です。

Q3: 具体的に、私の予定納税額はどのように計算されるのですか?

A3:

予定納税額は、原則として前年分の申告納税額に基づいて計算されます。具体的には、前年分の「申告納税額」から、次の金額を差し引いた金額の3分の2が、その年の予定納税基準額となります。

そして、この「予定納税基準額」の3分の1が、第1期分と第2期分のそれぞれの納付額となります。

例えば、前年分の申告納税額が75万円で、源泉徴収がなかった場合、予定納税基準額は75万円となり、第1期・第2期の納付額はそれぞれ25万円(75万円 ÷ 3)となります。

ただし、2024年においては、この計算の過程で、2024年の定額減税額が考慮されて算出されることになります。税務署からの通知書には、この計算結果が示されていますので、ご自身で計算する必要はありません。

Q4: 予定納税額が例年より少なくなることはありますか?どのような場合に影響を受けますか?

A4:

はい、2024年は定額減税の影響により、予定納税額が例年より少なくなる、または予定納税の対象外となる可能性が高いです。

これは、予定納税額の計算において、2024年分の所得税から控除される定額減税額が考慮されるためです。納税者本人および扶養親族の人数に応じた定額減税額が、予定納税基準額を計算する際に差し引かれるイメージです。

具体的には、前年分の所得税額が高額であっても、定額減税額(本人3万円 + 扶養親族一人あたり3万円)が大きい場合には、予定納税基準額が15万円未満となり、予定納税が不要となることがあります。

ご自身の状況に応じて、税務署から送付される予定納税額通知書に記載された金額が、定額減税が反映されたものとなりますので、そちらをご確認ください。

Q5: 予定納税の納付時期はいつですか?2024年も変更ありませんか?

A5:

予定納税の納付時期は、例年通り、第1期分が7月1日から7月31日まで、第2期分が11月1日から11月30日までです。2024年もこのスケジュールに変更はありません。

納付は、税務署からの通知書に添付されている納付書を使用するか、e-Taxによる電子納税、ダイレクト納付、インターネットバンキングなど、様々な方法で行うことができます。期限内に忘れずに納付することが重要です。

Q6: 予定納税額に納得がいかない場合、どうすれば良いですか?減額申請は可能ですか?

A6:

はい、予定納税額が通知された後で、その年の所得金額や税額が前年分より少なくなる見込みがある場合は、予定納税額の減額申請を行うことができます。

例えば、事業の廃止、休止、著しい不振、または災害や盗難による損失などにより、その年の年間の所得金額が前年より確実に減少し、予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額よりも少なくなる(例えば、年間の所得税見込み額が予定納税基準額の3分の2に満たない)と見込まれる場合に申請が可能です。

減額申請を行う場合は、「予定納税額の減額申請書」に、その年の所得の見積もり計算書や、売上帳、経費帳などの根拠資料を添付して、所轄の税務署に提出します。

申請の時期は、第1期分及び第2期分を減額したい場合は7月1日から7月31日まで、第2期分のみを減額したい場合は11月1日から11月30日までです。申請が認められれば、通知された予定納税額が減額されます。

Q7: 予定納税をしないとどうなりますか?

A7:

予定納税額を期限までに納付しない場合、原則として延滞税がかかります。延滞税は、納付期限の翌日から納付を完了した日までの日数に応じて計算されます。

また、正当な理由なく予定納税を怠ると、税法上の義務を果たしていないことになり、将来的な税務調査の際に不利に判断される可能性も否定できません。

税務署から通知書が届いたにも関わらず、納付を忘れてしまった場合や、納付が困難な事情がある場合は、早めに税務署に相談することをお勧めします。

Q8: 年の途中で事業状況が変わった場合、予定納税はどうなりますか?

A8:

年の途中で事業を廃止、休止したり、業績が著しく悪化したりして、その年の所得が前年より大幅に減少する見込みとなった場合は、Q6で説明した「予定納税額の減額申請」を行うことができます。

この申請により、その年の予定納税額が減額または免除されることで、実態に合った納税額となります。年の所得の見込みが大きく変わった際は、減額申請の検討をお勧めします。

一方、年の途中で事業が好調になり、所得が前年より大幅に増加する見込みとなった場合でも、自動的に予定納税額が増額されることはありません。その増額分は、翌年に行う確定申告の際に精算されることになります。

Q9: 確定申告の際に、予定納税額はどのように扱われますか?

A9:

年末調整がないフリーランスの場合、1月1日から12月31日までの所得に対する最終的な所得税額は、翌年2月16日から3月15日までの確定申告で確定します。

確定申告の際には、納付すべき最終的な所得税額を計算し、そこから既に納付した「予定納税額」と「源泉徴収税額」を差し引いて、不足額があれば追加で納付(追納)、払い過ぎていれば還付を受けます。

つまり、予定納税はあくまで所得税の前払いであり、最終的な税額は確定申告で決定され、予定納税額はその確定税額を計算する上で既に納めた税金として扱われることになります。

まとめ

2024年の所得税改正、特に定額減税は、予定納税の対象となるフリーランスの方々の納税額に影響を与える重要な変更点です。税務署から届く予定納税額通知書の内容をしっかりと確認し、ご自身の状況に合わせて適切に対応することが大切です。

もし、その年の所得が大きく減少しそうな場合は、忘れずに減額申請を検討してください。予定納税は確定申告で精算されますが、正確な納税額の把握と期限内の納付は、円滑な税務処理のために不可欠です。ご不明な点は、税務署や税理士に相談するなどして、正確な情報を得るように努めましょう。