2024年確定申告:医療費控除・セルフメディケーション税制の適用Q&A(フリーランス向け)
この記事では、2024年の確定申告に向けて、フリーランスの方が特に気になる可能性のある医療費控除とセルフメディケーション税制について、Q&A形式で分かりやすく解説します。これらの制度を正しく理解し、適切に申告することで、所得税の負担を軽減できる場合があります。ご自身の状況に合わせて、ぜひ内容をご確認ください。
Q1:医療費控除とはどのような制度ですか?
A1:医療費控除は、ご自身や生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。この控除を適用することで、課税される所得金額が少なくなり、結果として所得税や住民税の負担が軽減されます。これは、病気や怪我などで予期せぬ出費があった場合に、税負担を緩和するための国の仕組みです。
Q2:医療費控除の対象となる「医療費」には、どのようなものが含まれますか?
A2:医療費控除の対象となる医療費は、医師または歯科医師による診療や治療の費用、医薬品の購入費用、病院への入院費用などが一般的です。これらに加えて、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費用(治療目的のもの)、助産師による分べんの介助費用、一定の基準を満たす介護福祉士等による喀痰吸引・経管栄養の費用なども含まれる場合があります。ただし、美容目的の整形費用や、健康増進のためのサプリメント購入費用などは対象外となります。交通費についても、通院のために公共交通機関を利用した場合の費用は対象ですが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は原則として対象になりません。
Q3:医療費控除を受けるための条件は何ですか?
A3:医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が対象となります。控除額は、実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに10万円(または、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を差し引いた金額です。この計算結果が0円以下となる場合は、医療費控除は受けられません。
Q4:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは何ですか?
A4:セルフメディケーション税制は、特定の病気や怪我の予防、または健康増進のために一定の取組を行っている方が、自己または生計を一にする配偶者やその他の親族のために購入したスイッチOTC医薬品の購入費用について、所得控除を受けられる特例です。スイッチOTC医薬品とは、医師の処方箋なしで購入できる医薬品のうち、医療用から転用されたものを指します。この特例は、医療費控除の代替として選択できる制度であり、両方を同時に適用することはできません。
Q5:セルフメディケーション税制の適用を受けるための条件は何ですか?
A5:セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、確定申告を行う方が、その年の1月1日から12月31日までの間に、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として、次のいずれか一つを受けている必要があります。 * 特定健康診査(いわゆるメタボ健診) * 予防接種(インフルエンザなど) * 勤務先で実施する職場の定期健康診断 * 人間ドック等 * がん検診 これらの取組を行った上で、対象となるスイッチOTC医薬品を年間1万2千円以上購入している場合に、購入費用から1万2千円を差し引いた金額(上限8万8千円)が所得控除の対象となります。
Q6:医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらを選択すれば良いですか?
A6:医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方のみを選択して適用できます。どちらの制度を利用すると税負担が軽減されるかは、年間の医療費やスイッチOTC医薬品の購入額、健康診断等の受診状況によって異なります。 一般的には、年間の医療費が多額になった場合は医療費控除が有利になる可能性が高く、比較的医療費が少なく、スイッチOTC医薬品の購入が一定額以上ある場合はセルフメディケーション税制が有利になる可能性があります。実際に計算してみて、控除額が多くなる方を選択することになります。
Q7:フリーランスとして、事業用の口座から家族の医療費を支払った場合、帳簿上の処理はどうすれば良いですか?
A7:フリーランスの方が、ご自身やご家族の医療費を事業用の口座から支払った場合、その支出は事業の経費にはなりません。これは事業とは直接関係のない個人的な支出であるためです。このような場合、帳簿上は「事業主貸(じぎょうぬしかり)」という勘定科目を使用して処理します。例えば、事業用口座から1万円の医療費を支払った場合は、「事業主貸 10,000 / 普通預金 10,000」のように記帳します。確定申告の際の医療費控除は、この「事業主貸」として処理した金額のうち、控除の対象となる医療費を集計して行います。
Q8:医療費控除やセルフメディケーション税制を申告するには、どのような書類が必要ですか?
A8:確定申告書とともに、「医療費控除の明細書」または「セルフメディケーション税制の明細書」を作成して提出する必要があります。これらの明細書には、誰のために、いつ、どこで、いくら医療費を支払ったか(またはスイッチOTC医薬品を購入したか)などを記載します。 以前は医療費の領収書の添付や提示が必要でしたが、現在は原則として不要となり、明細書の提出のみで申告できるようになりました。ただし、税務署から求められた場合には、領収書や、セルフメディケーション税制の場合は健康診断等を受けたことを証明する書類などを提示または提出する必要がありますので、ご自宅で5年間保管しておくことが推奨されます。
Q9:2024年の税制改正で、医療費控除やセルフメディケーション税制に関して何か変更点はありますか?
A9:医療費控除及びセルフメディケーション税制の基本的な制度内容や適用条件について、2024年の税制改正で特筆すべき大きな変更点はございません。引き続き、現行の制度に基づいて確定申告を行うことになります。しかし、税制は毎年見直しが行われる可能性があるため、常に最新の情報を確認することが大切です。正確な申告を行うためにも、改めてご自身の医療費やOTC医薬品の購入状況を確認し、要件を満たしているか、どちらの制度が有利になるかを検討することが重要です。
まとめ
医療費控除やセルフメディケーション税制は、フリーランスの方にとっても所得税を軽減できる可能性のある重要な所得控除です。ご自身やご家族のために支払った医療費や購入したスイッチOTC医薬品の金額を確認し、要件を満たす場合は積極的に活用を検討しましょう。確定申告の際には、医療費控除の明細書やセルフメディケーション税制の明細書を正確に作成し、必要に応じて領収書などを保管しておくことが大切です。ご自身の状況に合わせて、最適な方法で確定申告を進めてください。